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2012'04.03 (Tue)

第107話「同じ日は無い」

10月18日 日曜日

順平「…」

林華「…」

天田「…」

風花「…」

アイ「…」

澄子「…ハハ」

寮の空気がかなり重い…真田先輩も美鶴先輩もいない…
別に順平が説教を受けているわけではない…
一人は本を読み、一人は雑誌を読んでいる…何処も空気を重くする要素はないが…
精神的に辛いと誰も思うだろう…主に一階のラウンジには…

順平「本当に何かあったの?空気が滅茶苦茶重い…」

風花「ゆかりちゃんも佐野くんも話しませんし…」

天田「理由聞こうにも…怖くて…」

アイ「これが取り付く島もないですか…なるほどな〜」

そう全く視線を合わせない…話もしない…

林華「…あんな耕助、初めてみたわ…」

風花「へ?そうなの?」

順平「でも…あ〜確かに…俺が機嫌が悪くなった時は悲しそうな顔してたり、
我慢している感じしたのに今は最初からブチ切れ侍だな」

澄子「うん…珍しく喧嘩だわ。
耕ちゃん本当にあんな風に怒ったりしないの…始めは受けて受けて…
我慢出来なくなるまで我慢して最後は爆発するのに…」

風花「まさか…タルタロスもこんな感じ?」

最近ではゆかりをパーティーに加えようとしない…
天田がいるからかも知れないが天田が疲れるとそのまま帰ってしまう…
ただでさえ荒垣さんが入院中なのに…

順平「とりあえず…待機?」

澄子「そうだね…下手に首を突っ込んだら更に悪くなるかもしれないし…」

林華「キラーン☆彡」

澄子「下手したら首突っ込んだ物までそれに巻き込まれるかも知れないね…
もしかしたら、絶交だとか関わるなとかね」

林華「…ちぇ」

澄子「ま、私なら探りは簡単だけどね〜」

順平「えっと、じゃあお願いしてもいいっスか?」

澄子「OKOKバッチシ来い!」


ー澄子視線ー

澄子「あ、来たね♪」

佐野「何や?」

澄子「最近、ゆかりちゃんと仲が悪いね」

佐野「あれは岳羽が悪い」

澄子「何かあったの?」

佐野「…」

そしてテスト前の事を言った…もちろん不機嫌に…

澄子「へ〜…」

佐野「あ〜思い出すと余計に腹が立つ…ホンマ訳が分からん!」

澄子「それはゆかりちゃんの言葉で?それともその苛立ちの原因からかな?」

そう耕ちゃんはその『大きなお世話』は小さい頃から言われてきた…
だから今さら怒る原因にはならない…苛立ちの原因は別にある

佐野「…さぁな」

澄子「分からない事はないでしょ?自分の事だから…
分からないのは自分からその答えを見ない振りをしているからよ」

佐野「…」

自覚ありみたいね…もしかしたら…
理由は分かった…林華ちゃんの初恋崩壊ももうすぐかしら?

佐野「…悪いがその事に関しては放っておいてくれ
許す気は全くないんや…何故かわからんが…」

澄子「分かった…納得するまで喧嘩してなさい…」

別に私はこういう友達同士とかの喧嘩を止めるつもりはない…
相手の意見に納得できてなきゃ同じことの繰り返しになっちゃうからね

佐野「大丈夫…タルタロスの探索には支障しないように注意しとく…」

そう言って行っちゃった…ま、止める理由もないけどね…

澄子「なるほど、脈ありね」

これは単なる痴話喧嘩になるかも知れない…直感だけどね☆彡


10月19日 月曜日
ータルタロスー
〜順平視線〜

佐野「今日のメンバーは順平、林華……岳羽」

順平はカチンと固まった…
ただでさえこの悪い空気の中でその二人がいる探索メンバーの一人になるとか思ってなかったから…
虎ネエは単なる痴話喧嘩と言っていたが…巻き込まれる奴の事も考えろよ…
と内心思っている…口には出さないけど…

佐野「よし、散策や」

そして、入ったと思ったらいきなり散策!?と内心思っている

佐野「アイテム、お金は後で回収…そして、山分け…以上」

そして、さっさと歩き始めた…え?これはいいの?
てか、初めてじゃね?実力を確かめてるの?ゆかりっちと一緒に居たくないだけ?
いや、それだけだと連れてきた意味はないな…
…凄く殺気を感じるのは俺だけ?こっちに来るなとか…感じるけど…怖!!
林華っちもガクガクとこっち見てる…怖がってる!?

順平「来る?」

林華「…」

無言だがコクコクと激しく首を縦に振る…

林華「チャンスだけど無理だ…」

あ〜ご愁傷様…ゆかりっちも佐野っちとは逆の道を行った…
でも、ちょっと、悲しそうな顔をして…いや?後悔かな…そんな感じの…

林華「…」

あ〜三つに別れて良かった…
あれじゃ、まともに戦えね〜…あ、宝箱発見!

順平「やりぃ!お金…あ、何でも無い…」

林華「回収と」

と横から没収してきた!!

林華「ネコババ防ぎっと…」

バレタか…

順平「あ、シャドウ!先手必勝!!」

とアギラオを放ったけど…効く様子がない!!

林華「斬撃は…」

林華っちは薙刀で切りかかった…それなりのダメージだ…

林華「…風花先輩…アナライズは?」

風花「えっと…女教皇の解放のマリアが二体…アギ系は無効、ガル系は反射…ブフ系が弱点です」

げ、このメンバーじゃ斬撃でなんとか…

林華「順平先輩…私の後に続いてアギラオを…」

順平「へ?効かないんじゃ」

林華「エウリュディケー!逆転の女神!!」

風花「弱点が変わりました!!今はアギ系、ガル系が弱点!!ブフ系は吸収です!!」

あ〜確か林華っちのペルソナってそういうの持ってたな…

順平「そんじゃ、俺の大活躍!!アギラオ×2!!」

よし体勢が崩れた!!総攻撃チャンス!!

林華「あ、先輩!魔力を回収しますので再度、アギラオで」

順平「え〜…了解」

流石に後輩の女子に文句は言えねえ…
そして、解放のマリアは撃破した…

林華「よし、大吸魔!!」

と解放のマリアから大量の魔力を吸収した…

林華「トドメよろしく♪」

順平「…アギラオ!!!」

と余裕で倒した…

林華「よし、大分魔力回復したっと」

順平「そう言えば林華っちのスキルって何なの?」

林華「さっきの逆転の女神とテトラーカン、マカラーカン、
デガジャ、デクンダ、メキド、大吸魔だね」

順平「底つかね?」

林華「着かないように大吸魔で大幅吸収するしなきゃいけないし…調整が大変なんだよね」

順平「へ〜」

林華「ま、逆転の女神は全ガードキルより上だけど逆転するから全弱点には使いたくないね♪」

順平「いや、普通使わないだろ…」

林華「その点、全耐性は完全に鴨だわ♪耐性が弱点になるもの」

順平「…」

林華「過信出来ないけどね。さっきのも順平先輩のフォロー出来ましたけど、
逆に美鶴先輩と一緒だったら邪魔しかなりませんでしたし」

順平「ああ、そういう弱点もあるか」

林華「うん、それに私一人じゃ意味ないし…」

順平「え?どうしてよ?」

林華「私のは防御とメキド系しかないんです。だから斬撃でしか体勢を崩せないんです」

順平「な〜る」


〜佐野視線〜

はぁ〜たく、何でここまでイライラしてんだよ…
下手に会ったら何を言い出すか分からん…ここは何とか自分で何とか…

クー(出来んのか?)

佐野(…出来なあかんやろ)

だからイライラを解消するためにシャドウを蹴散らしている
今も絶好調だった…だけど晴れない…何でや〜…

佐野「ん?」

あ、シャドウ…しかも、依頼に出ているシャドウ…
物理を避けるのは上手いしストレス解消相手には十分

佐野「ナイトモード…干将・莫耶」

愛用の双剣を取りだし一気に斬りつける
が、やはり鎧を着た武士の事だけある…奇襲に気付き対応した…
白狼の武者だったけ?…

岳羽「さ、佐野くん!!」

と戦っていたのか、苦戦していたのか岳羽がいた…
おそらく、クリティカルヒットでもされたのだろう…
ついでや、助けよう…文句も聞かずにな

佐野「…悪いが俺も参加するで」

指示は言わない…好きな様にすればいい…
横、縦、斜めを切り刻んだが避けられてしまう…
やはり、斬撃、貫通、打撃見切りは強いな…
避ける事なら俺も負けてなどはいないがな

佐野「へ〜…」

相手が斬りかかってきたので受け流し蹴り飛ばした
だがちょっと腕に掠り切り傷が出来た…
死ななき安いからどうでもええわ

佐野「体勢を崩したわ…」

そして放り投げて剣はシャドウを突き刺した
トドメだ…エナジー・ブロークン。消滅を確認っと…

佐野「ん?」

岳羽「何で…」

佐野「偶然や。まさか、繋がっていたとはな…
あのシャドウも依頼の相手でもあるしこいつの落とし物を使わなあかんねん」

岳羽「それでも助けたよね…怪我もして…」

佐野「何か問題でも?」

岳羽「え?」

佐野「岳羽の言い分では私は私の道を行くから邪魔したり説教するなって聞こえた」

岳羽「それは…」

佐野「せやから言う…人を助ける…それが俺や
怪我もとどのつまりは死ななきゃええんや…例えボロボロでも…
義父の道や…この前の件もそれ…大きなお世話でも俺はその道を行く…
お前が文句言って説教して変える理由は何処にもないんや…」

岳羽「…」

佐野「せやから、俺はこれからも助ける、庇う…怪我を無視してな…
俺の人生を邪魔をするな」

と淡々と言う…不満をぶちまける…言ってはいけないとか分からなくなってきた
そして、岳羽が何かを言う前に立ち去った…聞く理由はない…単なる親しい友人…それだけや

クー(それでいいのか?)

佐野(ああ、それがいい選択肢かもな)

でも、何で悲しいとか寂しいとか思ってるんだろう…

クー(簡単だ…お前、自分で自分自身をウソを吐いているからだ…)

佐野(俺自身が?)

クー(ま、後悔しなきゃいいけどな)

佐野(…)

分かってる…分かってる…分かってる…分かってる…分かってる…
でも、今さら言ってしまった事…消す事が出来ない…


10月20日 火曜日
〜風花視線〜

夏紀「どしたー、風花?冴えない顔して。」

風花「え…?」

不意に、前の席に座っていた夏紀が後ろを振り返り話し掛けてきた

夏紀「話してみ、なんか悩みでしょ?」

風花「夏紀ちゃん…先輩…のこと…」

夏紀「ああ…荒垣先輩、か…驚いたよね…学校では見なかったけど、
街では見てたからさ…なんか、暴力事件ってのもホントなの?って。」

風花「取り戻せない事って、あるんだよね…私、すごく分かってさ…」

頭に思い浮かんだのは撃たれた荒垣先輩…
そして、家にいる両親の事…

風花「そんな事考えてたらさ…両親の事とか考えちゃってて。
…考えないようにしてきたけど、このままでいいのかなって…」

本当にいつ何が起きてもおかしくないと思ってしまった…

夏紀「親か…ムズいね、親の話はさ。でも風花ならダイジョブじゃん?」

風花「…そうかな…」

いまいち、自信が無かった…本当にそうなのか…

澄子「…森山さん…森山さん!どうしたの。早く前へ来なさい」

夏紀「はいはいはい」

澄子「返事は一度!自分で言うと言ったでしょ?…らしいと言えばそれまでだけどさ」

風花「え…どうしたの?」

何で前に出たんだろ?

夏紀「えー、どうも。長いようで短い間、お世話んなりました。
転校しても皆さんの事は忘れません。ありがとうございました。」

風花「え…」

夏紀「…ってカンジ?」

風花「え、転…え?………えーーっ!?」


――屋上――

夏紀「あんたも物好きだよね。せっかくイヤな女が出てくってのに、惜しんだりして。」

風花「転校しちゃうなんて…全然、知らなかった…」

夏紀「言ってどうなるもんでもないっしょ。暗い話になんのもヤだしね…」

そうだけど…まだ一緒に居て欲しかった…
それなのにいなくなっちゃうなんて思わなかった

夏紀「パパが急に倒れちゃってさ…難しい病気らしくて、すぐには治んないんだって。
…ウチ、あんまお金ないし、なんつーか、ノンビリしてらんなくて」

風花「…」

また…気付いてあげられなかった…
先輩の事も…夏紀ちゃんのこともそれがとても悔しくて悲しい

夏紀「気付いてみりゃ、あたしの世話焼くような物好きは…アンタだけだったな。」

風花「…そんな事無い。私、何の役にも立ってないよ、夏紀ちゃん…」

夏紀「またそんなカオして…」

それでも何もしてあげられなかった…
役に立てなかった…なのに何で笑っていられるの?

夏紀「前に言ったよね、…あたしは、アンタと同じだって。
ウチの親…あたしに興味とか全然無くてさ、あんま家とか居たくなかったんだ。
だからアンタが寮に入った時、あたし、ちょっと羨ましかった。」

風花「夏紀ちゃん…」

夏紀「でも風花…アンタ家が近くて親も普通なのに、なんで寮に入ったの?」

風花「えっ…それは、…その…」

両親が私に医者になって欲しいと思ってる筈なのになれなかったらと思うと辛くて…
もしかしたらいらないと言われると思って苦しくなって…

夏紀「ハハ、言いたくなきゃいいよ」

それを何か分かったのか夏紀ちゃんは無理に聞かなかった…

夏紀「でも、…話して何とかなりそうってんなら、早めに話しときな。
…ウチのパパ、今の様子じゃ当分話とか出来なさそうだしね。」

風花「…」

夏紀「ハハ、なぁ〜に言ってんのかね。暗い話ヤだって自分で言ったクセにね。
あたしね…毎日って、おんなじユーウツがただ始まって終わるだけって思ってた。
でもね風花、今の居場所だけに縋ってっと、そこだけんなるよ、…アタシみたいにさ」

風花「夏紀ちゃん…」

夏紀「この景色も見納めか…
…じゃああたし、家の用事で来週は学校来ないから、これでお別れ。」

風花「そんなっ!」

夏紀「ハハ、見送りとかヤメてよ…このままでいいから」

でも…せめて…お別れくらいは言いたい…

夏紀「ったくもー、そんな顔しない。」

風花「だって…!」

夏紀「言っとくけど、あたし結構元気よ。アンタに会えて…結構変わったからネ
今は、やれる事やってみようって思ってる。…だから、アンタもやりたい事探しな。」

風花「私の…やりたい事…………私の…」

そんな事…一度も考えなかった…
何で今まで考えられなかったのだろう…思い当たるのは――

風花「私、人に好かれてなきゃ居場所は無いんだ…って、思ってた。
だから、嫌われるのが怖くて、いっつも周りに合わせて…」

夏紀「ハハハ、アンタらしいよ。…もしヤならシカトしときゃいいよ。
…あたし風花のこと好きよ。…例え風花自身が自分の事嫌いでもね」

風花「夏紀ちゃん…!」

夏紀「じゃ…行くから」

そして、夏紀ちゃんが帰って行っちゃった…

風花「夏紀、…ちゃん…!」

胸の中から何かスッキリしたようで同時にやっぱり寂しいと思った…
 
風花「…携帯……えっ、夏紀ちゃん!?」

だけどすぐに夏紀ちゃんからメールが来てそれを呼んだ

夏紀『離れてても繋がってる、でしょ?いつだって話せるよ。
今までありがとね。私、ちょっとだけ泣いてるw』

風花「夏紀…ちゃん…!」

ああ、分かった…涙で前が見えないよ…

風花「『離れてても繋がってる』…分かったよ、夏紀ちゃん…」

これが絆なんだ…

風花「私、この力に目覚めたのは、自分の性格のせいって思ってた。
人の気持ちばっかり気にしてるから…だから「探す力」なんだって…」

そして…自分のやりたかった事…望んでいた事も…

風花「…私にも願いがある。みんなが仲良くしてるだけで、私、凄く嬉しいの
私は…それを、ずっと見ていたい。離れてても繋がる力。
私のペルソナは…「結ぶ者」。…私が願う、絆そのもの。」

決意の心は、山岸自身に新たな力を呼び覚ます…
山岸のペルソナ「ルキア」は「ユノ」へと進化していた…

岳羽「あ!居た居た。」

風花「あれ、みんな…どうしたの?」

アイ「屋上に居るパターンは、不意を突かれたであります。」

順平「いや、見掛けねーからさ。どうしたのかなって…」

そう…皆がいる…例え離れても…ずっと繋がっているんだ

風花「私、分かっちゃいました。」

順平「…わか…あ…?」

風花「…私、決めたの。この力で、やれるだけの事をやる。…それが私の、願いでもあるから…」

岳羽「ふ、ふうん…?」

風花「ふふ、ごめん。言葉にすると当たり前ね。」

順平「な、なんか、どしたの?」

風花「ふふっ…」

ありがとう…また会おうね…夏紀ちゃん

テーマ : 二次創作:小説 - ジャンル : 小説・文学

22:55  |  第八章 真実か偽りか  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  ↑Top

2012'03.31 (Sat)

第106話「喧嘩」

10月7日 水曜日

佐野「ぐ…!!」

佐野は起きたが左腕の激痛で顔が歪む…
佐野自身はこのことを分かっていたがここまで痛いとは思わなかった
ホープを使った事は今まで一度もなく効果は分かっていたが使用する機会が全くなかった…

佐野「…」

自分自身の心に喝を入れ痛みを堪えた…元々の修行もいつか来るであろう…
ホープの使用の為に鍛えてきたんだ…片腕が使えなくても生活が出来る様に…
何も失わない様に…無力だったと言う言い訳を消すためにも…
例え片腕で戦闘することになる非常事態に対応するためにも

佐野「起きるか…」

左腕の使用が不可…曲げることも出来ない…左手を閉じたり開いたりも出来ない…
力を込めようにも上手く出来ない…まるで、切断されたような感覚があった…
ブランブランと揺れる腕…

佐野「おはよう」

天田「あ…」

最初に会ったのは天田だった…この数日、眠り続けていたから分からなかった…
だけど、何処かスッキリとしたようなもやもやが取れたような感じがした…

天田「あの…勝手な事をして…すみませんでした」

佐野「ふ、ええわ…良かったわ…間に合って…」

と天田の頭を撫でた…

佐野「良い顔してるで」

天田「はい、ありがとうございます」

順平「佐野っち!?」

佐野「よ、順平」

順平「起きてて大丈夫なのかよ」

佐野「ああ、左腕が使えないけど学校に行くのなら支障ないわ」

その分の体力も魔力も回復した…全快にはそれ程かからないだろう…多分
例え、不良に襲われても大丈夫だろう…が、万が一の事も考えてランサーを自由にさせておくか…

順平「…どういう状態だ?」

佐野「麻痺してるって感じやな…初めて使ったから代償の強弱は出来ないけどな」

順平「そうか…無理するなよ」

佐野「しようにもできない。腕が使い物にならないし、投影も強化も出来ないしな…」

ただ、偽造工作はしない…包帯を巻いたりなど…下手なウソは後々、自分を追い詰めるからな…

岳羽「あっ…」

佐野「…おはよう」

岳羽「大丈夫なの?」

佐野「そうでもない…左腕は動かないし家事も出来ないし部活も生徒会も出来ないし
勘の鋭い人もいるから誤魔化すのには骨が折れる…」

そう、たまにあの学園には勘の鋭い人がいるんだよな…主に友人が…
ちなみに矛盾はしていない…俺は起きてても大丈夫だと言った…起きてても…ここ重要
今、言ったのは左腕を使えないのデメリット…これは大丈夫じゃない

岳羽「そう」

佐野「ま、殴られた跡が消えて良かったわ…誤魔化すのさらに難しいし……ありがとうな」

岳羽「あ、どういたしまして」

佐野「で、もうすぐテストやな…」

岳羽「あ…」

順平「げ…やってないぜ…」

佐野「やっぱりな…せやったら放課後に勉強会するけど来るか?」

順平「へ?」

岳羽「いいの?」

佐野「ああ、最初のテストは賭け事をしていたし次のテストもごちゃごちゃしてたしな」

順平「あ〜…」

佐野「ちなみに順平は強制やで…もう、桐条先輩の説教は聞きたくないやろ?」

順平「う…」

佐野「岳羽は?」

岳羽「…そうだね、お言葉に甘えようかな」

佐野「よし」

順平「ててててか、いいのかよ?たたた体調崩すかも知れないだろ?」

佐野「噛み噛みやな…それに体調も崩れんし左腕もただスキルを使わなきゃええし
酷使しなきゃ支障はないし」

どの道、タルタロスに登れないんや…都合がええな

順平「はぁ〜…」


その他にも友近とか岩崎とか林華とか小田桐、宮本、西脇、平泉、鍋山、
平賀、伏見、ベベを勉強会を誘った…
10月12日まで勉強を教えていた…そして、その帰り…


10月12日 月曜日

佐野「順平め…チドリの方に行きやがって…」

岳羽「ハハ…」

と言ってもそこまで怒っていない…チドリの方も行かないとな…
その方がチドリにも精神的にも安心するだろうしな
左腕も段々動けるようになってきたし、今回は許すか…

佐野「わかつに行かへん?」

岳羽「うん…てか、お金あったかな?
やだ…お財布無い!?え…落とした!?
いつだろう…?さっき駅で定期出した時まではあったし…
あれ…ってか、私、駅出てすぐぶつけられて…」

そして、こっちの方を向いて…

岳羽「ゴメン、ちょっと駅まで行って来る。すぐだから、待ってて!」

佐野「一緒に探そうか?」

岳羽「いいよ…私は平気だからさ…追いかけてきちゃダメだからね!」

佐野「…わかった」

岳羽「じゃ、行って来る!」

と走って行った…

佐野(別に左腕を使わないから平気やけどな…)

と思いながら待ってるが時間間隔が麻痺してるかな?
妙に長く感じる…まだか……やっぱり探すの手伝おう…財布をネコババされたらまずいし…

佐野「ん?」

不良A「あんだと〜?調子ノってんなよ、こら!!」

不良B「やっちゃう?やっちゃう?兄貴〜」

佐野「…」

何だか知らないけどゆかり、男たちに囲まれてるな…
しかも、一人は明らかにゆかりの財布を持っている…
それだけでも不快なのにさっきの言葉もさらに不快感を感じた

佐野「…おい」

不良C「なんだよ!オメエはよ〜」

佐野「そいつ、俺の友達でね…出来ればその財布返してくれませんか?」

不良A「うるせんだよ!」

不良B「痛い目に遭いたくなきゃさっさと失せろよ!!!」

何だろう…ぷっつりと何かが切れかけだな…堪忍袋か…

佐野「いいから返せよ…じゃないと酷い目に遭うで…」

と自分でも吃驚な位、ドス黒いものが出ていた…
気迫?殺意?不快感?暴走?今の頭では分からないな…どうでもええか…

不良A「あんだと〜!!オラッ!!」

と向かっていた…臆することもない…単純な動きだ…左腕を使うまでもない…
対処は欠伸が出るほど簡単だ…しかもゆかりの財布を持っている奴だ…
問題は力加減…本気では殺しそうだし、加減を間違えたら顎が砕けてしまう…面倒臭いな…

佐野「…」

そして、顎に目掛けて蹴りをかました…男は吹っ飛び、気絶している…
威力の所為か…財布が目の前に落ちた…

不良B「あ、兄貴〜!!」

佐野「…」

俺はその財布を確かめた…万が一にもゆかりのじゃないのかも知れないし…
男が女用の財布を使ってるのも変だがな…
ちゃんと、証拠になる物も入っている…

佐野「…ほいよ」

岳羽「あ…」

そして、腕を掴み歩いた…

不良C「おい!!テメエ!!」

と男が怯えながら吠えてきたため…振り返った…
あろうことか、缶をゆかりに投げつけたためキャッチする…
材質はスチールか…男もそれは分かっているみたいだし…と思い…
目の前でスチールを小さくなるまで握り潰した…そして、放り投げた…

佐野「言っとくが…これ以上、しつこくするのなら…手加減出来ひんで…
その時はどうなるか…分からへんな〜…もしかすると死ぬかもしれんしな…」

止めとして殺意の瞳を不良共に見せつけた…
そして、無視をして行った…



佐野「間一髪やったな…」

岳羽「ありがとう…でも…」

佐野「でも?」

岳羽「何で来たの!?」

何故か、ゆかりが怒ってる…訳が分からん…

岳羽「待ってて私言ったよね」

佐野「確かに言ったが…」

岳羽「何で助けに来ちゃうわけ?バカにしてる!?」

佐野「バカにしてへんわ!何でそうなるん?」

岳羽「お財布だって自分で取り返せるんだから…
私は…一人でも大丈夫なんだから!」

佐野「取り返せるって!震えてるやんか!!」

岳羽「うるさい!!余計なお世話なのよ!」

余計なお世話!?何処が!?俺はただ手伝おうとしただけやん!!
何でそこまでボロクソに言われなあかんねん!!

佐野「俺は…犬とちゃうでな…」

もう完全に怒った…イライラが収まらない…
あの時と同じようで…全然違う…

岳羽「え?」

佐野「俺は手伝おうとして行ったのに何で文句言われるねん!
バカにしてへんし左腕も使わなかった!助けてどこに問題があるんや!」

岳羽「…!私は自分だけで生きるのよ!!邪魔しないでよ!!」

佐野「…分かった…だったら勝手にしてろ!!」

そう言って俺はゆかり…岳羽を放っておいて寮に戻った…


ー佐野の部屋の中ー

俺は監視カメラで撮れなくなるように工作し、ゴミ箱を蹴り飛ばした…

佐野「たく、何で文句言われるんや!!」

イライラが収まらない…前は孤独と裏切りで苦しかったけど今は違う…

佐野「せやな!今、思ったけど何で俺は岳羽の言い成りになってるねん!」

そうだ…これは俺の体だ…俺だけの生き方や…
庇おうが助けようが…例えボロボロになってる時でも…生きてりゃ何とでもなる
なのに、何処が気に入らないのか…注意して…聞く必要が無かったんや

佐野「…」

助けた事に後悔していない…
許せないのが大きなお世話と言われて…
今まで、言われてきたのに何故かここまで怒ってる…
でも、許す気はならん、土下座で謝るまで絶対に許さん!!

佐野「ああ、戻ってやるわ」

容赦なく庇おう、助けよう…
ボロボロでも関係ない…それが俺の道…義父の道…
他人にとやかく言われる言われはないわ
例え、岳羽に文句を言われようが無視する…言い返そう

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22:07  |  第八章 真実か偽りか  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  ↑Top

2012'02.05 (Sun)

第105話「残したもの」

10月5日 月曜日
ー佐野の部屋ー
〜6時半ごろ〜


昨日、何とか佐野の活躍のお陰で荒垣が死ぬ事はなくなった…
だが、代償として佐野に大きな傷を残していた…

林華「…多分、一週間はこのままだと思う…」

岳羽「え?」

順平「どういうことだ?」

林華「私のペルソナの性質上、魔力の流れを感じ取れるけど…
今の耕助の状態は最悪…耕助が言っていた『回路』かな?…
それがズダズダになっているの…身体の傷はまだマシな方と言えるくらい…」

と林華は説明した…そう…ホープにはそういう代償があるのだ…
使用者の『望み』を魔力に込めて撃つのが発動条件だが、基本、等価交換原則になっており、
魔力が『望み』に見合ってなければ今回のような状態になる…
もちろん、『望み』が小さい場合は代償も小さいが大きければ大きいほど代償も大きくなる…
そして、もし、魔力がその望みに合ってない場合、副作用を引き起こす…

林華「特に左腕が酷い…『回路』と言うのが回復しないとおそらく使い物にならないわ」

順平「つまり?」

林華「左腕は確実に動かなくなるの…おそらく、一週間くらい掛からないと動かない…」

風花「…」

林華「このことは多分、耕助も覚悟していたと思う…ホープを使えば自分がどうなるのか…」

順平「…」

林華「この状態はホープの副作用だと思う…もし耕助がホープを出さなかったら先輩は死んでいた筈だった…
それを強引に『死なない』と書きこんだから世界の矛盾がホープを通じて耕助に襲った…」

『今回』は運がよく『左腕』の使用不能だと言う事…
大それたことは出来ない事だとしても『生命』そのものに影響を及ぼす副作用を引き起こすかも知れない…

岳羽「なんで、佐野くんは…」

林華「死んで欲しくなかったかも…先輩に…仲間に…」

岳羽「だからって、こんな…まるで――」

自分で自分自身を殺そうとしている感じだった…

林華「ごめん、岳羽先輩以外は席を外れて貰えないかな」

順平「え?」

アイ「でも…」

林華「お願いします…」

風花「…」

順平「…わかった。でも、ゆかりっちたちは?」

林華「後から行く」

順平「わかった」

そう言って順平たちは部屋から出た…

林華「…さっきの先輩が言いかけた事、本当かも…」

岳羽「え?」

林華「耕助は間違いなく自分自身を犠牲に守ろうとしてる…例え、本当に死ぬ事だとしても…」

岳羽「…何で」

自分の命がどうなってもいいと言えることを平然とやっていけるのだろうか…

林華「耕助にとって自分の命はどうでもいいものなの…
それよりも大事なのは他人…それも、親しい人たちの命なの…」

岳羽「…」

林華「あの地獄の所為でトラウマになってるの…誰かが死んで…自分が無事なのが…
だから、もし、仲間が死んでしまったら…ううん、親しい人たちだけじゃない…
その家族、友達、恋人…その人が悲しむ出来ごとになったら必要以上に自分自身を責める…」

もしかしたら、自殺も考えてしまうかも知れない…
だから、助けようとした…自分自身の基盤を守るために…生きる意味を守るために…

岳羽「…でも、このまま放っておけば――」

間違いなく壊れる…自分を蔑ろにしていれば基盤を守る以前に本体が壊れてしまう…
そんなことしても、助けられた本人はどうなる…いやそれ以前に―――

林華「うん…わかってる…しかも、耕助も不死身じゃないから死ぬ可能性もある…」

だが、林華には最早どうしようもない所まで行ってしまってる…
佐野の望みを知っているが止める術を知らない…


ー月光館学園ー

とりあえず佐野は風邪を引いたと言って誤魔化した…

他男子A「そういや聞いたか?3年の荒垣、意識不明の重体だって」

他男子B「ああ。やっぱり裏通りの常連ってやばいのかな?」

他男子A「まぁ、自業自得じゃね?他から恨まれる事もあっただろ?」

順平「…」

知りもしない男子の会話を聞いて順平は怒りで拳を震わしていた…

岳羽「ほっときなさいよ…」

順平「わかってるけど…」

林華「そういえば、真田先輩は?」

順平「知らねえ…呼びに行ったけど…いなかった」

岳羽「大丈夫かな…先輩…」



ー病院ー

病室の扉には「面会謝絶」の札が掛かっているものの、それを無視して入って来たのは、真田先輩

真田「よう。案外、顔色いいじゃないか。いつまで寝てる気だ?
いつものアレを食って来た…授業サボって食うラーメンの味が知りたくてな…
意外といいもんじゃないか…誘えよ、一度くらい」

そう言っても何も言ってくれない…何もしてくれない…
当り前だ…佐野は二月まで眠り続けていると言われた…
今のこの状態は仮死状態…何をしてもそのままだ…

真田「黙ってないで、返事くらいしろよ
…いつもそうだ、お前は…いつも黙って勝手に行っちまう。
こっちの身にもなれってんだ…」

荒垣の返事はない。かすかな寝息すら聞こえない。

真田「…逆だと言いたいのか?そうだな…
力だ理屈だって、一人で突っ走ってたのは俺の方だ…
美紀を失ってから、俺は、ただ力だけを求めてきた…
力さえあれば、どんなものでも守れると思ってた…
なのに今、お前まで…!お前まで失いかけた!!いや、佐野がいなかったら何も出来なかった!!
美紀のように!!俺は間違っていたのか!?聞こえてるんだろ!?答えろよ!シンジ…!」

荒垣さんのベッドに突っ伏して、しばらく泣いていた真田先輩…

真田「…わかってるよ、シンジ。泣いてたって、何も始まらないってんだろ…?
分かってるさ、それぐらい。どうせ俺は、俺である事から逃げられない。
…いい加減、ウンザリしてんだ。」


やがて立ち上がった真田先輩の心には、新たな決意と強い意志が宿った
その決意により、ペルソナ"ポリデュークス"は"カエサル"へと覚醒。

真田「見ていろ、シンジ。今の俺にはやる事がある」

そう言うと、真田先輩は迷いの吹っ切れた様な晴れ晴れとした表情で荒垣の病室を出て行った


ーラウンジー

美鶴「集まってもらった理由は…分かるな…
天田の処分をどうするか…私達で話し合おうと思う。
理事長も了承済だ。アイギス、彼を連れて来てくれ」

アイ「了解しました」

風花「私のせいだ…荒垣先輩が遅れる理由を言わなかった時、"あれ?"って思ったのに…
私、まただ…私が気付いてれば、こんな事には…」

澄子「私も…天田くんの孤独に気付いてあげれなかった…」

岳羽「そんな、風花…澄子さん…」

美鶴「君のせいじゃない。事情を知っていた私こそ、もっと早くに気付くべきだった」

順平「オレ…自覚、足りなかったっス…
遊びじゃねえって、分かってたけど…こんな事になっちまうなんて、全然…」

林華「私も自覚、足りなかったかも…」

真田先輩「過ぎた事を言ってどうする。
シンジの言葉、覚えてるだろ?“これでいい”…
全く、大した奴だ…死ぬかも知れんって時に、前だけを見てた…だから、俺も前しか見ない」

順平「“これでいい”か…」

岳羽「先輩…」

美鶴「……」

するとアイギスが走りながらラウンジに来た

アイ「報告します!天田さんが、部屋に居ないであります!」

岳羽「うそ!?」

アイ「窓に、こじ開けたような跡が!」

風花「天田くん…!」

岳羽「ちょっと!どこ行くの、風花!心当たりあるの?」

風花「それは…無いけど…でも放っとけないでしょ!?」

岳羽「無茶よ、やみくもに探す気!?」

風花「だって、私たちが探さなきゃ!!
天田くん、居場所が無いんだよ…私、そういうの分かるから…」

林華「とりあえず、落ちついてください」

岳羽「そ、そうだよ風花…」

風花「そんな…!林華ちゃんもゆかりちゃんだって、
もっと分かってあげるべきじゃないの!?」

岳羽「風花…」

林華「先輩…」

風花「ごめん、私…」

真田「天田の事は、放っておけ。庇ってどうする。連れ戻して何か変わるのか」

美鶴「明彦…」

真田「アイツのケジメだ…
どう生きるかは、自分で決めるしかない…自分で決めるしかな」



10月6日 火曜日

天田「…」

天田は何もせず、ただここに座っているだけ…場所が場所なのだろう…
不良も誰も来ていなかった…だが、天田はそんなこと考えていなかった…
目は光を失い、未来が見えなくただ、自分の過去を振り返って泣いてまた泣いての繰り返しだった…

真田「まるで、死んでいるような顔だな」

憧れの先輩の声が聞こえた…
それでも、目には光は戻らず言われたように死んでいるような感じだった…

真田「ここで、何をしている。」

天田「……母さんが僕を庇って死んだ時…死んだ理由なんて、誰も信じなかった…
母さんは今も、ありもしない事故で死んだ事になってるんだ…
だから、せめてハッキリさせたかった…」

過去、自分の事を信じると言った警官がいた…
だがら正直に話した…信じると言う声を信じて…だが、返ってきたのは…
夢でも見ていただろうと言う声だった…本当だよと言ったのに信じてくれなかった…
何度も何度も本当だよと言っても信じてくれなかった…
結局、母さんは『事故死』になって僕も精神不安定と言われた…
その時から、大人は信じない…仇は必ず取ると誓った…

天田「それだけが弔いなんだって…母さんだって、きっとそうだって思った。
あの人も、暴力事件で意識不明って事になったんでしょ?
ホントの事なんて…誰も知りやしない。母さんと同じに…そして、いつも僕だけ残されるんだ…」

そう、残されるだけ…どれだけ泣いても帰ってきてよと叫んでも…
帰ってきてくれない…戻ってきてくれない…

真田「お前は二度も残された…その意味を、考えたことは無いのか?
俺は、迎えに来たわけじゃない。歓迎をする気もない。
そこがお前の居場所なら、死ぬまでそこにいればいい。
…だが、戦う気がまだあるのなら、自分で扉を開けて戻ってこい。」

それだけ言うと、先輩はそこから立ち去って行った…

天田「分かってるさ…そんな事」

壁に向けて拳で叩いた…何度も何度も…

天田「そうさ…ホントは分かってたんだ。ぜんぶ…誤魔化しだって。
誰かを憎んでれば、立っていられた…だから、僕は…
僕は、僕だけで生きるのが、怖かったんだ…
そして、また…ずっと逃げていたんだ…」

そして、泣いた…だが、今までの涙ではなかった…
思う存分叩くと泣き止み、覚悟を決めた…

天田「分かったよ…もう逃げない…もう逃げないって…誓うよ。
荒垣さん…後は僕がやっておきます。だから、ゆっくり休んでて…」

その時、心が晴れた…
“ネメシス”から“カーラ・ネミ”に覚醒した…

天田「…さよなら…母さん。僕は、もう大丈夫だから…」


―寮―

岳羽「もう、丸一日か…」

美鶴「…そうだな。」

順平「つか真田サンは?」

風花「放っておけって言われたけど、そろそろ探しに行った方が…」

林華「…」

風花「…私、やっぱりもう待てません!今からでも探しに…」

ちょうどその時、玄関の扉が開き、天田が入って来た。

コロ「ワン、ワンッ!」

岳羽「天田君!?」

風花「よかった…ほんと…心配したんだから…」

天田君「心配…?」

美鶴「天田…戦えるのか?」

天田「はい。…もう勝手な事はしません」

順平「大丈夫なんだろうな?」

天田「はい」

風花「大丈夫…天田君は、ウソを言ってない…」

岳羽「…ったく、心配させんなよ?」

美鶴「…分かった。理事長には私から言っておく。…休んでくれ。」

天田「はい」



―影時間―

ファ「あれ?寝てるの?お〜い…ダメかな?じゃ、またの機会に…」

佐野「悪い…」

ファ「え?」

佐野「ぐ…やっぱり痛い…」

ファ「大丈夫?」

佐野「大丈夫じゃない…左腕動けん」

ファ「え!?まさかこの前の戦いで!?」

佐野「いや…まぁ、仲間を守るための代価を支払ったって言おう…」

ファ「…そう…何があったの?」

佐野「仲間を失いそうになったから…裏技を使ったわ…」

止むを得なかった…荒垣さんが薬で身体がボロボロなのを知った…
だけど、生きて欲しかった…奪ったのなら生きて償って欲しかった…
それがタカヤに撃たれて死ぬのが分かってしまった…
嫌で熱くなって…自分の体がどうでもいいと思って使った…
ホープは副作用が強く危険な剣なのは知っている…
だけどあの時、世界の理を変えるには強力な奇跡を起こす必要があった…
それが可能だったのはあの剣だけだった…唯一の自分の『願い』が籠った剣…
あの時の奇跡を起こせるように…奇跡を願って求めて作ろうとして…
悔いはない…三つの内の一つだから構わない…

ファ「…そうだったんだ
この世界じゃ、毎日、たくさんの人間が死ぬんだ…」

そう、どうしようもない現実…
だが、だからこそ、この世界は儚く美しくも思う…
今、この時間でも多くの人は寝て朝には起きる…
いつも通りの世界に見えていつも通りではない世界…だからこそ守りたいと思う…

ファ「今まではそんなこと、水や風の流れと同じようなものだと思ってた
でも、今は…ちょっと違う…僕にも友達が出来たからね」

佐野「そうか…」

ファ「この頃、はっきりと感じる事があるんだ」

佐野「ん?」

ファ「僕の言う“終わり”のことを、“滅び”と呼ぶ者もいるみたいけど…
それは凄く近づいてきてる。君は何も感じないのかな?」

佐野「ん〜」

目を閉じて全てを感じる様にしては見たがそれを感じる事が出来ない

ファ「僕らは共にある存在の筈なのに…なんで、僕だけ思い出すんだろう…」

佐野「…」

ファ「これはとても辛いことだよ。
僕はもしかすると君には受け入れてもらえない存在なのかも知れない…」

佐野「それはあり得ないな…俺はお前がどんな存在だって受け入れるで…俺たち、友達やろ?」

ファ「そう…ありがとう…今日は変な話をしちゃったね。
季節が変わるからかも知れない…僕が君の友達なのは変わらない筈なのにね…

佐野「筈じゃなく絶対や」

ファ「ふふ…じゃ、今日はこれで…おやすみなさい」

そう言うとファルロスは消えた…

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11:15  |  第八章 真実か偽りか  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  ↑Top

2011'10.30 (Sun)

第104話「月夜の復讐が生みだすのは惨劇かもしくは――」

10月4日 日曜日

風花「目標を発見しました。これは…巌戸台の駅前広場です!」

幾月「これで10体目か…12体まであと少しだね。1体ずつ慎重に行くとしよう」

ちなみにこの場に虎ネエと林華はいない…佐野の頼みで内緒にして貰っている…
虎ネエの別荘は裏口もありマスターキー、合いカギは虎ネエが所持しており、
裏口からでは寮から見ていてもバレない…
タルタロスに行く時は佐野の携帯から指示を待ち待機している
満月では場所が分からないのでペルソナでテレパシーを送っている…
テレパシーは魔力を使わないので平気なのである

岳羽「…って1体ずつとは限らないですよ。
ハハ、ウソですけどね」

順平「ゆかりっち…それフラグ…」

風花「すごい、ゆかりちゃん、反応2つあります!」

岳羽「え、マジ?当たんなくていい、そんなの…」

佐野「つまり11体で次の満月がラストてわけか…」

真田「…シンジはどうした?」

アイ「荒垣さんでしたら、後から合流すると連絡があったであります」

順平「へ?理由は?」

アイ「不明であります」

真田「…相変わらず勝手な奴だな」

順平「まぁ、いいじゃんすか〜後から来るんだし」

岳羽「まぁね、この前の順平も集合に来なかったからね」

順平「あ、あれは仕方が無いだろ?もう心配ねえって言ってんの!」

岳羽「あれ、天田くんも来てないし…
ほら、順平、呼んできて。この前の罰ね、これ」

順平「罰!?うわ、マジないわ…ハァ…ま、ガキは寝てる時間だしな」

と言って天田を迎えに行った順平を見て佐野は…

佐野「ほぼ確定か…」

岳羽「え?」

佐野「なんでも…」

美鶴「今回は敵2体だ。とにかく、現場に急ごう。
前線の顔触れは現地で状況を見てから決める事にする」


ー巌戸台駅前ー

岳羽「うわ…いる…」

澄子「実物はこんな奴なのね」

と初見の虎ネエは驚いている…
ちなみに虎ネエと林華は別のペルソナグループ扱いとなっていて、
佐野とは別に行動する。指揮は虎ネエが行うので満月戦では6人構成になる

岳羽「この辺、いつも学校行くのに使うし暴れられると、マジ困るんだけど…」

佐野「せやな。特に本の虫とか」

澄子「わかつや」

林華「はがくれや」

真田「海牛が壊されては堪ったものではないな」

風花「な、なんだか私たちを待ってるみたい」

美鶴「ところで天田はどうした?」

順平「あ、なんか、部屋に居なかったんスよ…急いで呼びに行ったんスけど…」

真田「そう言えば、シンジの奴…遅いな」

アイ「急いだ方が良いであります。今にも動き出しそうでありますし」

佐野「パワーモード」

今回の佐野は魔力を使う気はないので魔力ではなく体力を使うパワーモード
ゲイボルクを使い魔力を消費しないスピードモードだけで戦うつもりである
最初にパワーモードにしたのは全カジャオート系があるから

佐野「悪い虎ネエ…今回は出来るだけ魔力を使いたくないから…」

澄子「考えがあるの?」

佐野はコクっと頷いた

澄子「OK!アロンダイトもあるし問題無いわ」

虎ネエのペルソナがランスロットなのでアロンダイトは本来の力が出せる…
それにランスロットの能力で飛躍的に攻撃力が上がっている

佐野「すまんな…じゃあ…行くで」

佐野の推測が当たってるのなら今回の戦いは間に合うか間に合わないかの時間との戦い…
出来るだけ冷静で素早く相手を倒す…パーティは、ゆかり、アイギス、真田にした





佐野「これが今回の敵…」

今回は2体で運命と剛毅…剛毅は花吹雪を包まれた女性型のシャドウ…
運命のシャドウは犬型にしては細い形のシャドウだった
すると、剛毅のシャドウが魔術なのか運命のシャドウに花吹雪を包ませた

風花「運命タイプの反応が消失!剛毅のシャドウが何かしたようです」

佐野は持っていた鎖剣で運命タイプを攻撃したらはじき返された

風花「今は攻撃が効きませんね…まずは剛毅タイプから倒してください!」

佐野「バリアか…面倒なことを…スピードモード!」

パワーモードは超近接タイプで威力は大きいが範囲が狭い…
ので、中距離で攻撃できるスピードモードで戦い近づいたらパワーモードに変え一気に決めることにした

真田「行くぞ!ラクンダ!」

真田のラクンダが当たった時、もう攻撃の嵐が起こった

クー「おらおら!!」

林華「は!」

ランサーの連続突きが剛毅に命中し、林華は流れる風のように舞い敵を斬り裂いて行く

澄子「せい!」

アイ「掃射!」

そしてわずかな隙間に割り込み横切りを決めアイギスが数発の銃弾を当てた

岳羽「ガルーラ!!」

林華「メキド!!」

そして、林華が素早く退きメキドとゆかりのガルーラの同時攻撃が炸裂した

運命「運命の輪…」

佐野「ん?」

バリアに守られてる運命は突如スキルを発動した…それは…

風花「な、何これ!?ル、ルーレット!!?」

佐野「ぶっ!!」

目にはハート、爆発したような絵が描かれていて何の効果か容易に分かった…

佐野「まさか、回復か、ダメージてわけか?!」

そして、青と赤…その意味までは分からなかった…
というよりも佐野はこういう運を使うゲームが苦手である
ルーレットが回り出すがそれほど速くない…だが、顔は真っ青だった…ついでにランサーも…

クー「うわ、無理だぞ…俺は運が良かったと思える機会なぞ殆どねえ」

佐野「俺も…」

クー「くっ!ストップ!!」

結果は…赤の中ダメージがある絵の目が当たってしまった

クー「ぐわ!」

岳羽「きゃ!」

林華「きゃん!」

澄子「うぐ…」

真田「くっ…」

アイ「うっ!」

どうやら、赤の目がこちらにとって外れらしい…

剛毅「ヒートウェイブ」

そして、更なる攻撃を喰らった…こちらにとって致命的なダメージだ…

風花「あのルーレット…止まった目によって、色んな効果を発生させるみたい
“赤”の目に止まると外れみたい…こっちに不利な事が起きるようです」

岳羽「メディラマ!」

ゆかりの回復のお陰で何とかなったがまだ足りない…

林華「テトラーカン」

物理のバリアが張られた…これで安心だが…

佐野「あのルーレットをどう――」

澄子「次、私に任せて!」

と自信満々に虎ネエが言った…

佐野「虎ネエ?」

澄子「あのルーレットの仕組み分かったし♪」

岳羽「ウソ!!?」

風花「一瞬で!!?」

澄子「ゲームの攻略、製作では誰にも負けはしないわ♪」

佐野「分かった…今回は頼む」

澄子「まずはあの剛毅を倒しましょう…さっきの動きでも十分だし…」

佐野「分かった…ペルソナチェンジ!パワーモード!コウモクテン!!金剛発破!!!」

とペルソナが剛毅にキツイ一撃をお見舞いした

澄子「喰らえ!デッドエンド!!」

真田「ジオンガ!」

ランスロットのアロンダイトに雷撃が纏い敵を叩き斬った…

運命「運命の輪…」

佐野(きた!頼むで…虎ネエ…)

今回は状態異常であり一つでも喰らったら死ぬ可能性がある…

澄子「見切った!!ストップ!!」

そして出た目は…青の恐怖効果付きの目が出た…
剛毅は恐怖して動く事が出来なくなってしまった…

風花「すごい」

澄子「簡単♪簡単♪あれには青と赤があるでしょ?」

佐野「ああ…」

澄子「さっきのルーレットを例えるけど、あのルーレットの絵柄の場所覚えてる?」

佐野「ああ、混乱を基準とすると混乱、焦り、ヤケクソ、恐怖…」

澄子「そ、で、ストップと言った時に焦りのマークがあったら、
その場所から一周半して反対の位置にある恐怖のマークで止まるの」

岳羽「でも、それだけだと味方か敵かなんて…」

澄子「青と赤があったでしょ?
ストップと言った時に矢印が青を指していれば青に止まるの。赤なら当然、赤に止まる…」

佐野「虎ネエはそこに注目してたんか…」

澄子「それよりもチャンスよ!!剛毅を沈めましょ?」

佐野「せやな…喰らえ!ギガンフィスト!」

そして、その一撃で倒れなかったものの大ダメージを与える事が出来た

澄子「恐怖状態なら物理の方が有利!!」

そして、横、立て、左斜め、右斜めの連続切りに加え両手で持ち全体重を加え叩き斬った…

真田「ふ!は!でりゃ!!」

アイ「一撃必中であります!!」

真田先輩もアイギスもクリティカルが出た…この時点で剛毅のシャドウは瀕死だった

岳羽「メディラマ」

ゆかりは念のために回復スキルを唱え味方を完全回復させた

林華「これでお終い!!」

林華はグルングルンと周り薙刀の威力に遠心力を付け加えた…
最後に全体重を乗せ横払いをし、剛毅のシャドウは消滅した…
その瞬間に運命の身を守っていたバリアが消え去った

風花「今なら倒せます!!」

運命「運命の輪…」

だが、今回は明らかに青を狭くしておりダメージ狙いなのが見え見えだ!

風花「あ!こんなの反則じゃ――」

澄子「大丈夫♪問題ナッシング♪はい、ストップ♪」

止まった目は青の大ダメージのマークが付いてる目で運命のシャドウは大爆発に巻き込まれた

澄子「さっきの定義を応用すればこんなのどうってことないのよ」

佐野「喰らえ!!」

佐野もクリティカルが出て、運命のシャドウは倒れた

佐野「チャンス!一気に決める!!」

総攻撃が決まったがまだ体力があるみたいだ

真田「ラクンダ!!」

林華「メキド!!」

岳羽「はっ!!」

澄子「チャージ♪耕ちゃん♪トドメ、私にさせてね」

佐野「了解。アイギス!」

アイ「了解であります!タルカジャ!!」

タルカジャで虎ネエの力を上がらせトドメを狙うには申し分なかった
そして、運命のシャドウは再度、苦し紛れの抵抗として
明らかに青を狭くして殆どの赤のルーレットを出しダメージを狙っていた

澄子「ストップ!!」

だが、虎ネエはそんなのお構いなしと見事に当たりを当てた…

澄子「キサマの敗因は私にゲームで挑んだ事よ!!」

アロンダイトから光が輝きだして力を解放した…

澄子「アロンダイト!!」

そして、運命のシャドウを一刀両断し消滅させた…


澄子「いや〜楽勝楽勝♪あんなの私に掛かればちょちょいのちょいってね」

岳羽「全く、調子のらないでくださいよ?」

澄子「わかってるよ」

佐野「スピードモード!!悪い!ちょっと出掛けるわ!!」

とランサーに変え何処かに消え去った…

澄子「耕ちゃん…どうしたのかな?
魔力を使わなかったり戦闘を急いでいたり急に何処かに行ったり…」

岳羽「そう言えば…何かあったのかな?」

林華「うん…」

風花「先輩も天田くんも来なかったし…」

真田「…今日は10月4日だったな…」

全員「?」

真田「先に戻っててくれ…俺は2人を探してから戻る」

そう言って真田もその場を離れた

岳羽「ちょっと!?先輩?どうしたのかな?」


ー裏路地ー

天田「約束通り…来てくれましたね」

荒垣「……」

天田「なぜ呼んだか…分かりますか?
…作戦を放ってまで、来てる訳だから、分かってるんだよね。
ちょうど2年前の今日…10月4日…あの日…僕の母さんは、ここで死んだんだ…
死因は交通事故ってなってるけど、あれは事故じゃない。
僕は見てた…母さんは殺されたんだ…お前が殺したんだッ!!」

天田の目は怒りで満たされており復讐鬼の顔になっていた…

荒垣「……」

天田「……いい事なんて1コも無かった。生きてくなんて、辛いだけだった…
周りだって、そういう扱いさ、どこに行っても“かわいそう”ってさ。
…いる意味がないんだ。死んじゃおうって思った時もあるけど…
…このまま母さんに会うなんて、出来ない。…だから、決めたんだ。
お前を見つけるまで、生きてようって!あの日の事…“思い出したくもない”
って言ってたろ?だから、今日が満月って分かった時、…お前を呼ぼうって決めたんだ。
…今日は、母さんがついてる。自分のしたことを思い出させてやる!僕がお前を殺してやるっ!!」

荒垣「……分かった」

ー作戦室ー

あの後、気になりはしたものの美鶴の意見で言ったん寮に帰った…
虎ネエも林華も先に別荘に帰っている…

岳羽「あれ?まだ誰も戻ってないんだ…」

順平「つか、真田さんも佐野っちも様子ヘンだったよな。
今日はどうなってんだ?10月4日って、なんかの日だっけか?」

美鶴「10月4日…しまった…そうか!
作戦に気を取られすぎて思い至らなかった…
今日は…天田の母親の命日だ!」

順平「命日…?」

桐条「山岸、急いで荒垣と天田の居場所を突き止めてくれ!
2人一緒に居る可能性がある。明彦も佐野も、多分そう気付いたんだ」

山岸「わ、分かりました」

風花はルキアを召喚し、探し始めた…

岳羽「あの…どういう事ですか?」

桐条「天田の母親が命を落としたのは…
公には“事故”となっているが…本当は、過去の私達が原因なんだ」

岳羽「えっ…」

美鶴「2年前、イレギュラーで街に出たシャドウを討ちに行った時の事だ…
ペルソナを得たばかりの荒垣に、軽い“力の暴走”が起きたんだ。
敵を追うのに気を取られていたとは言え、民家が巻き込まれてしまってな…
運悪く…1人だけ、犠牲者が出てしまった。それが…天田の母親なんだ」

順平「そんな…ホントなんスか!?」

岳羽「じゃぁ…天田君にとって、荒垣先輩は…」

美鶴「天田は自ら志願して、仲間に加わった。しかし、今にして思えば…」

風花「見つかりました!辰巳ポートアイランドです!
2人一緒です。それと…近くにもう1つ反応が!!」

美鶴「明彦か?」

風花「待って下さい、この反応は…違います!これはストレガです!」

順平「マ、マズくねーか!?」

美鶴「くっ…最悪だ!!」

すぐにペルソナを解いて駆けていく風花

岳羽「あ、風花!!追っかけよう!!」


ー裏路地ー

荒垣「…やれよ。抵抗はしねえ。お前の言った通りだ。
俺は…忘れたかった。仲間と離れたのも、クスリで力を抑えたのも、要はその為だった…
けど無駄だった…体が忘れねえんだ。気が付けば、ここへ来ちまう…見たくもねえ場所なのにな」

天田「……」

荒垣「俺のやった事だ…報いは受けるさ。だが…1つだけ、忠告がある」

天田「忠告…?」

荒垣「こんな俺の命でも、奪えばお前は、俺と同じ重みを背負う事になる。
そいつだけは、覚悟してくれ…」

天田「何だよそれ…命乞いってこと?」

荒垣「今は憎しみしか無くても、いつか必ず、背負っちまう」

天田「ふざけるな!!そんなの、背負うもんか!!」

タカヤ「…全く、その通りですよ」

荒垣「…!!」

タカヤ「そんなもの背負う筈がない…必要もない。
彼の行いは“復讐”なのです。殺されたのですから、殺してもいいはずでしょう?」

天田「…そ、そうさ」

荒垣「何の用だ」

タカヤ「仲間が1人、欠けてしまったのでね。先回りが、しづらくなりました。
しかし、このまま放置する訳にもいきません」

タカヤは怪しく光る銃を取り出した…

荒垣「テメェ…」

タカヤ「恐れる必要はありません。
これは、通過点に過ぎない。あなた方は、救われるのです…」

荒垣「んだとッ!?」

荒垣は天田を背中に隠した…

タカヤ「おや…自分を殺そうとする少年をかばうとは…
ああ、そうでした…復讐など無くても、どのみち、あなたは死ぬ運命…」

荒垣「……」

天田「なっ…どういうことだよ…!?」

タカヤ「ペルソナの抑制にクスリを使い出して…
もう、随分と経つはずです。あなたは、もう長くない」

荒垣「テキトー言ってんじゃねえ!」

タカヤ「自分の体の事でしょう…分かっているはずです」

荒垣「…ッ!」

天田「どういうこと…?勝手に…死んじゃうっていうのか…?
僕が何もしなくても…勝手に…そんなのアリかよ!!
それなら僕は…今まで、何を…」 

タカヤ「死が何によってもたらされるかなど、どうでもいい事でしょう。
少年…君からは、彼とは別の意味で、生きている臭いがしない。
…彼を殺した後で、自分も死ぬ気だったのでしょう?」

天田「……」

荒垣「天田、お前ッ…」

タカヤ「タイミングが、少し前後するだけの事です…
どのみち2人とも死ぬのですから。私が今、確実に息の根を止めてあげましょう」

タカヤは静かに銃口を向けた

荒垣「フザけるなっ!!」

重く響く銃声…銃弾は荒垣の足に目掛けて放たれており荒垣は跪いた…

荒垣「グッ…!!」

天田「う、うそだ…」

タカヤ「では…遺言の代わりに、訊いておきましょ。
チドリと似た“情報の使い手”が君らの中に1人居る筈ですね?
…あなた方の方が、情報が速くてね。シャドウを守ることが出来ないのです。
教えて下さい、誰なのか…言わないと、ほら…傷がどんどん悪化していきますよ」

先輩の傷を蹴り上げるタカヤ

荒垣「ぐ…あ…」

天田「あっ…!?」

タカヤ「…どうしたのです?教えてもらえませんか?それとも、もう口が利けませんか?」

荒垣「そ、そんな奴は…いな…」

タカヤ「……」

タカヤは、もう一度荒垣の傷口を蹴り上げようと、足を振り上げた

天田「待って!ぼ…僕だよ!」

タカヤ「本当ですか?」

天田「ああ、本当だよ。それが出来るから…
だから僕は、子供でも戦いに加えてもらったんだ」

荒垣「な…!?なに…言って…」

先輩の傷を蹴り上げるタカヤ…

荒垣「ぐあっ!!」

タカヤ「…お静かに。あなたには、訊いていません」

天田「どうだっていいさ…僕の復讐は…もう終わったんだ。
…もう、ここにいる理由だって、もう、これ以上、戦ったって…」

タカヤ「なるほど、君は充分に、生きたというわけですね…
すばらしい覚悟だ…君を先にしましょう。楽におなりなさい」

タカヤは、天田に照準を定めた…

天田「母さん…」

荒垣「…ッ!!」

荒垣は天田の盾になろうとした…死んでもいい…コイツを守れるのならと…


ダンッ!!!―――ガキン!!!!


不思議な事が起きた…ここにいる筈のない人物が目の前に猛犬のようにタカヤを睨む付けていたのだ…
佐野…否、ランサーだ…それも荒垣と天田に向けて撃った銃弾はランサーの足元に真っ二つに斬られていたのだ…

クー「たく、なんて顔だよ…呆けて泣いて…せっかくヒーローのペルソナが来たのによ」

タカヤ「…くっ」

ともう数発…荒垣に向けて発砲したがその全てをランサーは対応し弾いた…

クー「残念だったな…矢避けの加護があるからな…
その程度の弾では傷一つも付かないし付けさせないぜ」

天田「ラ、ン、サ、ー…」

荒垣「おめえ…何故…」

だが、ランサーは向かない…猛犬の様に威嚇し完全に脅威が去るまで二人を守るつもりだ…

タカヤ「ペルソナが何故?」

クー「我は汝、汝は我だろ?マスターの大切は俺の大切…守るのは当り前だろう…マヌケ」

タカヤは舌打ちをして後ろを向く

タカヤ「興が削がれました…引き上げましょう」

タカヤが去った後、荒垣は吐血した…

荒垣「ゴホッガハッ」

クー「俺の出来るのはここまでだ…」

佐野(ありがとう!!後は俺が!!)「ナイトモード!!先輩!」

風花「先輩!!?」

路地裏に急いで飛び込んできた風花が見たものは血で顔が真っ赤に染まった愛おしい人だ…
風花が守りたいと思った相手だった…

風花「あ…天田君?……っ!!?先輩!!」

その傍らに茫然と立ち尽くす天田、
影時間の闇に消える銃を持ったタカヤの後ろ姿…荒垣の肩を持っている佐野…

真田「シンジ!」

岳羽「先輩!」

順平「荒垣さん!」

美鶴「荒垣!」

仲間達が、後から走って来る…
あまりに突然色々な情報が多過ぎて状況を理解できなかった…
真田は自分の鈍感さを呪った…否、自分自身を呪った…
二年前の今日荒垣がペルソナの暴走で天田の母親を事故死させてしまった事
天田が荒垣に復讐をしようとしていた事…荒垣がそれを甘んじて受けようとしていた事…
ここにいつまでもいた理由を…何一つでも気付いてあげたら…
直ぐに気付ける立場にいた筈なのに当日になるまで気付けなかった…
否、気付こうともしなかった…力を求めるのに必死で…
風花は現実が理解する事はできなかった…したくなかった…
あの日の夜が…夢のような夜が…闇に…幻として消え去る感覚だ…

風花「イヤ…」

荒垣「あま、だ…」

虫の息で血を吐きながらも天田の方を見た…

天田「あ…あ…」

ガタガタ震えている天田の肩に手を置いて言う

荒垣「へっ…なんて顔だ。せっかく…望みが叶うってのによ…
憎しみを…すぐに…捨てなくていい…力にすりゃ、いい…」

荒垣は血を吐きながらも、諭すように天田に言う

荒垣「お前は…まだガキなんだから…こっからだろ…
これからは…てめぇの為に…生きろ…」

天田「僕…は…」

天田の返事を聞かず今度は真田の方を向く

荒垣「アキ…こいつを…」

真田「…ああ…分かった…分かってるから…
シンジ…逝くな…逝かないでくれ!!」

真田は顔面蒼白で泣きそうになりながらも必死で泣くまいとしている…

風花「やめてください…そんな、まるで…遺言みたいに…言うの…」

風花の目から涙が溢れて、流れた…以前言っていたあの約束の意味を理解した…

荒垣「風花…スマナイな…こういうことだ…」

〜荒垣「俺を、許さなくていい…けど他は全部、許してやってくれ…」〜

荒垣「泣くな…風花…」

囁くような声と共に大きな手が風花の顔に近づいて行き、涙を拭う
しばらく二人はじっと見つめ合う…
荒垣の脳裏に今までの思い出が蘇る
笑ってた泣いてた怒ってた風花の顔が言葉が、いくつもフラッシュバックする…これが走馬灯か…

荒垣「これで――」

佐野「――先輩…これがアンタの望みか?」

荒垣「…」

ここに来て何もしゃべらなかった者…佐野の口が今、開いた…
こっちはギリギリなのにと文句は言いたいがこれで最期だと思うと答えなければならない

荒垣「ああ、俺は…これで…いい」

目は髪で見えなかったが表情で読み取れた…何かを決めた顔だ…何だ…俺を失う覚悟か…

佐野「さよか…人の命を奪っておきながら死んで逃げようと考えていたんやな」

腹は立ったがどうでも良かった…
どうせ、俺の体は薬でボロボロだ…そう思うならそう思ってもいい…

佐野「逃がさん…奪ったんなら償え…死んで詫びようなんて俺が許すか…
それが…アンタの願いなら…スタンバイ…オン!!」

佐野は嫌だった…仲間を失うのも…人を殺して…それを後悔しているのに…
死んで詫びようとする行動自体が…もう後はどうなってもいい…
これを使えば体の一部が機能停止になる…そんなことは考えて無かった…
イメージせよ…あの剣を…もうこれしかない…投影のスピードを最高最速に…
緑色の宝石の付いたグレートソード型の剣が具現化した…

佐野「俺は…その願いを…容赦なく壊す」

と言い終わると荒垣の心臓部を深く突きさし同時に宝石部分を殴った…
殴った拳は佐野の全魔力が込められていた…

佐野「バースト・アップ!!」

荒垣「ガハッ!!」

魔力は剣を通じて荒垣の心臓に一直線で向かい達すると魔力が一気に拡散した…

風花「先輩…いやああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

真田「シンジ…シンジィィィィィィィ!!!」

それと同時に佐野は壁の方にブッ飛ばされそれの反動か壁が陥没した・・・

佐野「グハッ!!!」

だが、それだけではなかった…佐野は吐血しただけでなく佐野は痛みで狂ったように…

佐野「うううああああああああああ!!!!」

女教皇の時とは比べ物にならない…魔力は無くなり…
回路はズタズタに引き裂かれ左腕も一時的に使いものにならなくなった…

真田「佐野!!!」

と真田は佐野を睨みつけた…怒り、憎しみ、悲しみ、苦しみ…
負の感情が混ざり唸り復讐心が生まれそうになった…
真田は佐野の胸倉を掴んで本気で殴った…何度も…何度も…

真田「よくも…よくもシンジを!!!!」

佐野の顔から血が流れても何度も何度も殴った…

美鶴「明彦!やめろ!!」

風花「ううぅぅぅ」

風花は泣きながら荒垣を抱きしめた…死んだと思っていた…
風花も負の感情…特に悲しみが溢れだして止める事が出来なかった…

荒垣「スー……」

風花「…え…?」

聞こえた…愛おしの人が呼吸する音が…幻聴か…風花は心臓部にを見た…
明らかにおかしかった…荒垣の心臓は佐野の剣によって空いている筈だったのに…
その個所がない…耳を胸の方まで近づけた…

ドクン…ドクン…

確かに聞こえた…心臓が動いている音を…
何故…その事を誰も思っていたが…つまり…風花はさっきとは別の意味で泣きそうになった

風花「真田先輩!!」

真田「…」

真田の目からは光を失っていた…故に言葉が出なかった…だが…

風花「荒垣先輩が…生きてます」

嬉しくて涙が止まらない…何故よりも…何よりも…生きてくれた…

真田「…馬鹿な!!」

真田も耳を胸の方まで近付けた…

ドクン…ドクン…

真田も聞こえた…シンジの心臓は今も動いている…
驚きを隠せない…嬉しさも隠しきれない…

岳羽「佐野くん!!」

ゆかりは佐野に回復魔法を放った…
佐野の顔は痛々しい顔が消え苦しむ顔もどうやら楽になった…

佐野「ありがとう…岳羽…真田先輩…俺はそんなに…信頼されてなかったんか…」

痛みを抑えながら…左腕を押さえながらも佐野は驚きと残念そうな顔をしていた…

佐野「てか…俺が仲間を殺すわけ…ないやろ…」

真田「佐野…お前、本当に何を…」

佐野「さっきの剣は…奇跡の剣…」

順平「え?」

佐野「効果は文字通り…自分の全ての魔力を支払う…
支払った者の願いを最高で3回まで叶えさせるんや…
まぁ、不老不死とか世界を思い通りとか大それた願いは無理やが…
俺の唯一のオリジナルの剣…とりあえず、俺は『ホープ』と呼んど…」

美鶴「つまり?」

佐野「荒垣先輩…制御剤を使用してたんやろ?」

真田「あ、ああ…おそらく長くなかっただろう…」

風花「え?それは…本当なんですか?」

真田「皆には内緒にしてくれと…」

佐野「それ、みんなチャラ…」

風花「え?」

佐野「『今までのダメージを無効にして寿命を元に戻す』と願っとおいたから…
さっきの怪我、制御剤の副作用は無かった事にしとる…」

真田「シンジは…シンジは…助かるのか?」

佐野「もちろんや…言ったやろ…」

真田「え?」

佐野「『アナタがそれを願ってるなら…それを容赦なく壊す』って…」

真田「佐野…スマナイ…ありがとう」

と佐野の手を握りながら…泣きながら…礼を言っていた…
風花も口を手で押さえながら泣いていた…

佐野「山岸…確かに助かったが寿命が戻るまでは荒垣先輩は眠り続ける…
2月の最初になるまで起きないが…ええか?」

風花「佐野くん…本当にありがとう…」

佐野「天田…」

天田「ハイ…」

佐野「すまなかったな…」

天田「え…」

佐野「お前が独り苦しんでいたのに放っておいてしまった…自分も味わったのにな」

そう、佐野自身も独りと思いこんで苦しんだ時があった…

佐野「苦しかっただろ?悩んだやろ?気付いて欲しかったんやろ?」

天田「そんな事は…」

と否定しようにも出来なかった…一筋の涙が零れた…
彼は大人ぶってるのかも知れない…だけど、それでも…小学生だ…
寂しい気持ちも悲しい気持ちも隠しきれない年代だ…

佐野「天田…今は苦しくてもきっと支えてくれる奴がいる…
例えな…気付かなくても自覚してなくてもな…」

天田「…」

佐野「もう独りで抱えんでええ…辛い時は俺にぶつけてもええ…
悲しみが晴れるまで聞いてやるし、居てやる…」

そして、佐野は天田は抱きしめ…

佐野「よく独りで頑張ったな…」

天田「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁ…」

天田の泣き声が響いた…彼が辛くも長かった月日を吐き出すように…

佐野「順平…帰りは…任せた…で…」

ガクッと佐野は頭を落とし目を閉じた…

順平「お、おおい!!佐野っち!?」

そして、強制フリーズ…インをして佐野は眠り始めた…

岳羽「佐野くん!!」

アイギスは佐野の首を触れて皆を安心させるように笑顔で…

アイ「大丈夫であります…眠っているだけであります」

こうして、復讐に取りつかれていた月夜は静かに明けていった…

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2011'10.28 (Fri)

第103話「時」

※すみません、荒風は荒ハムからの引用で所々に飛ばしている部分がありますので
期待している物を見せれません(技量不足で)

9月30日

ーラウンジー

佐野は当日の為の魔力の増幅を図るために自室で座禅を組んでいる…
ゆかりは自室でくつろいで他のメンバーも用事や散歩などでいない…
実質、ラウンジには風花と荒垣しかいない

荒垣「今日は………どっか行くのはやめて、
ここにいねえか?そっち、座れ。何か、話せよ」

風花「え?そう言われても…」

と風花がオロオロしていたが荒垣は少し笑って…

荒垣「何でもいい。…お前が笑えるやつがいい」

風花「そ、それでは、楽しい話を…」

荒垣「そうだな、それがいい。」

荒垣は少し嬉しそうに笑っている…
乞われるまま、色々な話を語って聞かせた…
学校のこと、友達のこと、部活のこと、テレビのこと…
佐野耕助の手によって与えられた『楽しい毎日』を過ごしていることを中心として…
そんな話を荒垣はただ音楽でも聞いているかのように風花の話を聞いていた

荒垣「楽しいみてえだな、毎日。
…お前はそうやって笑ってんのが似合う。泣いたりすんなよ…」

風花「…はい」

荒垣「ああ、笑っていろよ」

そして、荒垣はうつむいていた…

荒垣「何にも、置いてかねえようにしないといけねえんだがな…迷いも、未練も………」

風花「…未練って何ですか?」

荒垣「……忘れんなと思ったり、忘れろと思ったり…
欲しいとか…欲しがるな、とか…身勝手だな…俺は」

風花「そんなことないと思います」

荒垣「…なあ。身勝手ついでに、俺の我がまま聞いてほしい」

この場面は覚えている…支えたくても支えられず…
結局、聞くだけしか出来なくて自分は役立たずだと感じた…あの場面を…
佐野くんが苦しんでいたのに助ける事が出来なかった場面が…

風花「…何ですか?」

荒垣「俺を、許さなくていい。けど他は全部、許してやってくれ」

風花「許さなくていい?」

荒垣「後で分かる。今はもう少し…
このまんま…“いつもどおり”みてえのがいい…」

荒垣の言葉の真意はよく分からなかった…でも、これだけは分かる…
先輩は何かは大事なことを伝えてくれたようだと…

荒垣「もう、遅い時間か?…あー、時計ねぇんだった」

風花「時計?落したんですか?」

荒垣「どっかに無くしてきた。もうオンボロの懐中時計だ。
昔、ある人にもらった…しょうもねーな」

どうやら、とても大事なもののようだ…見つけてあげたいとも思っていた…

荒垣「んで?続き、ねえのか?」

風花「ふぇ?」

荒垣「お前の話が、もっと聞きてえな。あんだろ、何か…何でもいいから。」


10月1日

それから放課後、一生懸命探しまわった…
はがくれ〜コロ丸の散歩コース等や色々な人に聞いたが何処にも無かった…
そして、段々、自信が無くなっていた…

風花「見つからない…」

佐野「…山岸、何やっとん?」

風花「さ、佐野くん!!ど、ど、どうしたの?」

佐野「…?いや、ある人にオイ――ゲフンゲフン…
じゃなくて、買い出しや…3日後にはシャドウ戦も控えてるし…」

風花「そうだよね…」

佐野「で、山岸は?」

風花「私は探し物かな…」

佐野「ああ、古本屋のおばあちゃんが言ってたな…」

風花「知り合いなの?」

佐野「最近、人脈が凄い事になってるからな…で、時計を探してるん?」

風花「うん…」

すると佐野は考えだした…そして、ある方向を向いた…

佐野「プロ、いるやん」

風花「え?」

佐野が向いた方向にはいつも活動部の武器を調節してくれる人がいる交番…

佐野「俺も後は武器の買い出しするだけやから一緒に行けるし」

風花「はい、ありがとうございます」

佐野「どういたしまして」

最近ではようやくありがとうに対する耐性が出来たのか恥ずかしがらなくなってきた


―交番―

佐野「こんにちわ。黒沢さん」

黒沢「よく来たな」

佐野「満月直前やからな…装備は最後まで万全にせな」

と言って佐野はメニューを読み始めた…

黒沢「今回は珍しい奴がいるな」

風花「あ、はい…どうも」

佐野「用事あるねんな」

黒沢「む、そうか何だ?」

風花「あ、あのその…」

とやっぱり、アワアワとしている風花だったが、いつまでもダメだと思い

風花「…探し物です…」

黒沢「探し物?それこそ、俺の本業だろ、言ってみな」

風花「古い懐中時計なんですけど…」

黒沢「古い懐中時計?…ふふ、お前さんは幸福の星の下に生まれたな」

風花「え?」

黒沢「これだろ?」

黒沢が持っていたのは何年も使い古された懐中時計だった

風花「あ、ありがとうございます!」

黒沢「もうちょっと、遅かったら売っぱらっちまうとこだ」

風花「え!?」

黒沢「ハハ、冗談だ」


ー帰り道ー

風花「あ、あの…本当にありがとうございます!!」

佐野「だからええって…」

風花「いいえ…この半年…本当に佐野くんには…」

この時計もそうだが…いじめの時も…友達が出来たのも…
佐野がいたお陰でも他言ではない…

佐野「俺は大したことはしてへん…
友達の役に立ちたいと思うのは当り前や」

と買った物を持って佐野と歩いている…
あの後は言葉通りで装備品を買って消耗品も買ってある…

佐野「てか、先に帰らせて貰うわ…こんなの人に見られたらマズイし…」

とランサーを呼んだのか一瞬で視界から消えた…
人がいないので別にマズイ事はない…

風花「本当にありがとう…」


ーラウンジー

荒垣「おめぇか…」

荒垣先輩に交番で貰った…この古びた懐中時計を見せてみた…

風花「あの…」

荒垣「…!それ…ちっと付き合わねえか」

風花「はい」

荒垣「ああ…サンキュ」

この一通りの会話は(桐条先輩は家の用事で言ない)今いる全員が聞いていた…

林華「風花先輩、遂に告白!!?」

順平「よし!!」

澄子「見に行こう!!」

と空気を読まないor読もうともしないバカたちが騒いでいる…

真田「シンジは山岸に何の用だ?」

そして、どんな状況なのか理解できない朴念仁が一人…

天田「…(怒り」

今までよりもドス黒いオーラを発している少年が一人…

佐野「何か知らんが止めたらな」

本当は気付いているのに気付かないふりをしている人が一人…

佐野「岳羽!手伝って!俺一人じゃ虎ネエを止める事が出来ん」

岳羽「了解」

とやっとまともな人物が止めに入ろうとした…だが…

澄子「ん〜耕ちゃんがゆかりちゃんに愛の告白をしてくれたら止めるけど♪」

佐野&岳羽&林華「「「はぁ!!」」」

佐野「な、な、な、な、な、な、何で俺がゆ――岳羽に告白せなアカンねん!!」

と思わず『ゆかり』と言いそうになったが何とか持ち直した…
だが、慌て過ぎてかえって怪しまれる佐野

岳羽「てか、勘違いしないでよ!!
わ、わ、わ、わ、わ私はべ、べ、べ、べ、べ、べ別に佐野くんのことが好きじゃ――」

ゆかりも同様に慌て過ぎて怪しまれる…

林華「ちょっと待て!さっき耕助から不穏な単語を聞きそうになったけど!!?」

佐野「気のせいや」

林華「てか、何意味不明な事言ってんのよ!このバカ姉!!」

澄子「あ、酷い〜痛くも痒くもないけど」

と段々カオス化になりつつある寮の空気を見て順平は…

順平「あれ?いつの間にこんな空気に?」

呆然としていた…


ー長鳴神社ー

荒垣「これ、どこにあった?」

交番に届けられていたのを引取ってきたと話した。

荒垣「そうか」

荒垣は、手の中の小さな懐中時計をもてあそんでいる…

荒垣「見つからなくても、それはそれでいいと思ったが
他でもねえ、”お前”が、持ってくるなんてな…
代わりっちゃ何だが、これをやる。…渡そうかどうか、迷ってた…
お前に、似合うかと思ってな…」

風花「わぁ…ありがとうございます!」

荒垣「ああ…喜んで何よりだ…」

荒垣は少し恥ずかしそうだった…
それは風花も同じではじめて貰ったプレゼントでもある…

風花「あの…どうして時計を?」

荒垣「時を刻む物…だからな。これしか、思い浮かばなかった」

荒垣は長い間うつむきそして少しずつ開くと…

荒垣「アキを…頼む。…あいつ、馬鹿だから。最初の喧嘩の話、覚えてっか?」

風花「え?」

〜荒垣「イテテ…そういや、アイツに最初に殴られた時も口ん中切ってな…
しばらく飯が食えなかった」

風花「いつのことですか?」

荒垣「ガキの頃だ…理由は忘れた…」〜

風花「はい」

荒垣「あれな…俺が万引きしたんだ。おもちゃ屋で、女の人形ひとつ。
アキの妹が、友達できなかったから…喜ぶんじゃね〜かって、それやった。
したら、アキがそれを見つけて、俺をしこたま殴ってな…泣きながら。
んで一緒に、返しに行った…おもちゃ屋に頭下げて。
おもちゃ屋のオヤジに、アイツまで殴られて…あん頃から、変わってね〜んだ、あいつは…
馬鹿で、まっすぐで、誇り高くて、優しくて、泣き虫で・・・ガキだ。
だから、誰かがついててやんね〜と…」

風花「私たちがついてます」

荒垣「ああ…頼む」

心なしか荒垣はどこかホッとしているようだ…

荒垣「俺ぁな、お前がいるから何の心配もしていない…後を、頼むな」

風花「…」

荒垣「風が鳴ってるな…寒くなるな…
できりゃもう少し、ここにいたいんだが…もう帰――」

風花「先輩!」

荒垣「な、なんだよ…」

風花「私は…アナタが好きです」

と顔が真っ赤になりながらも必死で自分の想いを荒垣にぶつけた…
無論、荒垣も真田や以前の佐野みたいに鈍感ではないので言葉の意味が理解できる…

荒垣「な!お前…何を――」

風花「短い時間かも知れません…それは自覚しています…
でも、私は…この数週間…先輩と過ごしていているうちに…段々、好きになって…」

荒垣「…」

風花「優しい所も、怒った時も、ずるい時も…全部全部!!」

荒垣「…」

風花「だから…辛い時があったら…悲しい時があったら…
頼ってください!!私は先輩の味方に…彼女になりたいんです!!」

荒垣「たく、度胸もあるんだか、ないんだか…」

風花「すみません…でも―――」

荒垣「分かってる…だけど、いつかお前を傷付く事になる」

風花「…」

荒垣「正直、こんな男と付き合って本当にいいのかと言いたい」

風花「私は本気です」

荒垣「そうか…なら覚悟してくれ」

風花「…」

荒垣「俺もな…お前の事が好きだ」

風花「…!!」

荒垣「俺の彼女になってくれ」

風花「はい…」

この時は風花は幸せだった…
だけど、その幸せな気持ちはそう続きはしないことは風花は知らなかった

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